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月見は散々したな。小学校4年から6年の間に、一生分をしてしまった気がする。
花鳥風月を嗜むソレではないぞ。
今でこそ、怪しげな微生物やら免疫やらで口を糊しているのだが、そこは筋の入った理系少年ゆえ、イキモノ だけではなく、ほぼ全ての分野に一通り手を出していたわたくしである。
小学校4年から6年の間、お盛んだったのが天体観測だった。雑誌の天文ガイドを毎月購入するようになり、天文年間も購入するようになり。ご多分に漏れず、天体望遠鏡が欲しい。もちろんコドモが買えるわけも無い。当時で、10cm反射式、赤道儀、モータドライブ搭載で9万円ぐらいじゃなかったか?
さてさてさて。小学校には、コドモに理科系学問を広めるのを最高の喜びとしておる輩が必ず1人はおってな。変わり者の理科教師というヤツだ。今でもいるかね。わたしは、奴らを心底憎んでいるワケだが。だって、奴らのせいで、今のやくざな仕事についてしまったからな。
なんだっけ、そうだ月見だ。どういうわけか、当時はやたらと皆既月食が頻発していてですな。
#思い出ほろほろにより数値に大幅な修正あり。
月食があるたびに、件の変わり者の理科教師が「観測会」を開いていた。ツキになんぞ興味の無い連中も、夜の学校に入って真っ暗な中で遊ぶのには興味津々だ。常に4-6名は集まっていたな。今じゃ、絶対に無理だろうな。あれって学校側には届けなんか出してなかったと思うよ。
そんなわけで、わたしの月見は、天文年間のデータ通りに欠けていき、やがて暗赤色に変化する満月を観測する事なのだった。データを克明に記録していた。そして何よりも。一応書いとくか。わくわくしてたな。