今の子供は、絆創膏が必要になるほど外遊びをするのだろうか? つい先日、マクドナルドの無線LANスポットにPSPをちょいと接続して、ウェブブラウジングを楽しんでいる小学生を発見し、外遊びの絶滅を確信したばかりである。
俺がガキの時分には、ってこーいう言い回しをするようになったら確実に初老だからな。よく覚えておきたまえ。ともかく。俺の頃は、ほぼ外遊びしかなかったのだな。必然的に、絆創膏の出番は多かった。オトコノコのそれは、戦傷を癒す勲章であり、誇らしい気分になったものだ。オンナノコのそれは、絆創膏ではなく包帯であったな。怪我してないのに包帯な・・・。

そんなこんなで、周りのオトコノコどもは、誰かしら絆創膏をつけていた。が、しかし(始まりやがったな)、俺は絆創膏は付けさせて貰えなかった。祖母が医療従事者であったため、医学的に正しいと信じられていた「傷は乾燥させて治すもの」を実践させられていたのだ。もちろんコドモである俺は、正しい治療法より、戦傷を癒す勲章が欲しかったな。

特に、通常よりも大きくて正方形の奴ね。缶入りのバンドエイド、おっと絆創膏に2枚ぐらいしか入っていない貴重なブツ。あれを装備するための大怪我をするために、果敢に外遊びに出撃していったものよ。
幸か不幸か、ついぞ大きくて正方形の絆創膏を装備する傷は負わず、やがて読書を覚えてしまった俺は、絆創膏デビューの機会を極端に減らしていくのである。

30年前の事か。

医学的に正しいと信じられていた「傷は乾燥させて治すもの」は、現在では完全に否定され、真逆の悪い治療方の代表になった。鬼のように恐ろしく悪魔のように賢かった祖母は、睡眠薬中毒になり施設で余生を送っている。絆創膏が張りたいが為に外遊びに精を出していた孫は、三十路をとうに過ぎても外遊びをやめていないが、怪我が怖くなってしまった。