ファンの方には申し訳ないが、
あの菓子を可愛いと思えたことが無い。
あれは確か、
ヒヨコのようなものが上を向いた様な、
そんな形をしていたと記憶するが、
その記憶すら曖昧なくらいだから、
もう長いことその姿すら見ていないのだろう。
子供の頃、あれが良く家にあった。
薄紙に一つ一つ包まれているそれで、
こっそり良く遊んだ。
食べ物で遊ぶ罰当たりな子供だったんだよ。
薄紙をそっと剥がし、
現れたそいつの底の部分をそっと外す。
中の餡がうっすらうずまき模様なのを確認し、
きゃはははと心でコソリと笑い、
その剥がした底部のみを食し、
再度薄紙に乗せてキレイに包み直す。
そして、
箱に丁寧に戻す。
知らないで後で手にした妹なり母なり祖母なりが、
「うわっ!」とか「きゃっ!」なんて声を上げるのをぶははと笑う。
そんな愛らしい可愛い子供だった。
ひよ子以外にも
似たような菓子が確かあの頃沢山あって、
そんな形状の菓子が届くたび、
私はそれをやっていたので、
いつも母と祖母にこっぴどく叱られていた。
しかしその悪癖は治らず、
懲りずにその後数十年にわたってまで
それを続けるとは、
亡くなった祖母も思わなかっただろう。
おばあちゃんごめん。

ちなみに食すときは頭からであった。